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糖尿病網膜症は糖尿病による高血糖が原因で網膜の血管が障害され、眼底出血、新生血管の発生により硝子体出血(眼球内部の出血)、網膜剥離、緑内障が起こり失明することがある病気です。糖尿病網膜症は成人の中途失明の主因となっています。
糖尿病網膜症の治療の基本は糖尿病の治療(血糖コントロール)ですが、このままの目の状態を放置しますと、視力低下や失明する可能性が高くなります。
血糖が高い状態が続いたために、網膜の毛細血管がつまってしまい網膜の循環状態が悪くなっています。血液の循環が悪いこの状態が続くと網膜の組織が酸素不足に陥り、眼底出血が起こったり、新生血管が発生して硝子体出血にいたります。このような事態にならないように酸素不足の状態にある網膜にレーザー治療を行い、糖尿病網膜症を鎮静化させる必要があります。
通常は網膜の全体に広範囲にレーザー治療を行います(汎網膜光凝固)が、症例によっては局所的に行う場合があります(糖尿病黄斑浮腫などの特殊例)。
麻酔の目薬をしたあとにレーザー用のコンタクトレンズをつけて行います。多少の痛みを伴う場合がありますが、10分から15分程で1回の治療は終わります。網膜全体に行う場合は症状に応じて、日を空けて通常数回程度に分けて行います。また必要に応じてレーザーを追加する場合があります。レーザー直後は暗く感じて見えにくくなることがありますが、普通は15分程で戻ってきます。当日は特に安静の必要はなく日常生活に制限はありません。
糖尿病網膜症は酸素不足になっている網膜を放置すると、先ほど述べたように新生血管(もろくて破れやすい異常な血管)が発生して硝子体出血が起こります。少量の出血であれば吸収されることもありますが、出血の量が多くてなかなか吸収されない場合や出血を繰り返す場合は硝子体手術が必要になります。
硝子体出血を繰り返していると、増殖性変化に伴って網膜剥離が発生して失明する危険があります。また糖尿病網膜症の新生血管による緑内障が起これば、眼圧のコントロールが困難なため失明する危険があります。