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白内障は、加齢や糖尿病などのために眼の中の水晶体(カメラで例えるとレンズ)が濁り、その為に光が眼の中に入りにくく、視力の低下や霧視(かすんで見えること)が起こります。放置すると症状が進み、日常生活に支障をきたします。
白内障による視力の低下や霧視の自覚の改善を期待することができます。
白内障以外の眼の病気で見えにくくなっている場合には、思ったほど視力の回復がみられないことがあります。
術後は固定焦点のため、全ての距離が見えるわけではなく、読書や運転にはそれぞれに薄い度数の眼鏡が必要になります。
また、保険適応外にはなりますが、多焦点眼内レンズを選択すると遠くも近くも眼鏡なしでみえるようになることがあります。
視力の低下や霧視の自覚があり、その改善を患者さんが希望される場合に手術をすることになります。特殊例(緑内障を合併した例)では水晶体の濁りがすくなくても早めに手術することがあります。また白内障が進めば手術が難しくなり合併症の危険性が高くなることがあります。
白内障手術は、濁った水晶体を取り除いて、眼内レンズに置き換える手術です。安全に行われるようになりましたが、とても細かく高度の技術が要求される顕微鏡下での手術です。当院では3mmの小さな切開で、糸を使わずに、超音波を使った侵襲の少ない手術をしています。また、手術では水晶体の濁った部分を摘出しますので、その水晶体の代わりに眼鏡やコンタクトレンズか、眼内レンズ(現在の主流)のどれかで見え方を補う必要があります。眼内レンズは折りたたみ式のものを主に使用し、小切開手術に適しています。眼内レンズ挿入術は、保険適応になり当院では99%の方が手術中にレンズを挿入されています。また、材質の改良が行われ、より安全な眼内レンズになっています。
外来で手術を申し込んだ時に行った血液検査、心電図、胸のレントゲン、尿検査などの全身状態の検査の結果で手術に問題ないか確認します。眼科の検査では、近視、遠視、乱視の度合いを測る検査や、手術に耐えられる目かどうかの検査や、眼底検査、そして眼内レンズの度数を決めるために目の長さを測る検査などを行って手術に臨みます。
手術の当日は、抗生物質(細菌による感染症を防ぐ目的)の点滴をします。また瞳孔を広げるための目薬をして手術室に入ります。手術室に入ったらベッドに仰向きに寝ていただき、眼のまわりの消毒を行います。顕微鏡の光で始めはまぶしいですがしだいに慣れてきます。目薬による麻酔の後、眼球にも麻酔を行います。
眼球に水晶体を摘出するための出口をつくったあと、水晶体を包んでいる膜を切開します。(図2-1)
そこから超音波の機械を挿入し、濁った水晶体をこまかく砕いて吸引します。(図2-2)
空になった水晶体を包んでいた袋の中に眼内レンズを折りたたんだ状態で挿入して広げます。(図2-3)
しっかりと眼内レンズが固定されている状態を確認して手術を終了します。(図2-4)
手術は局所麻酔下で約20~30分かかります。手術中は急な体動や咳・くしゃみ・いきみは危険です。失明の危険性や手術の続行が不可能になることもあります。楽な姿勢でいてください。
当院では、手術を受けられる方のより確実な安全性の点から、手術後の約1時間の安静をお願いしています。また、術後の安静の解除・眼帯の除去・点眼・入浴・洗顔・洗髪などは医師・看護師などの指示に従ってください。
点眼によって白内障の進行を遅らせることはできますが、進行を止めたり改善させたりすることはできません。現在の医療では手術以外の方法で白内障は治すことはできません。白内障がすすめば手術は難しくなり、合併症の危険性も高くなります。